受賞者紹介

第49回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

なかむら のぶや

中村 信也

(東京都)
中村 信也

東京家政大学教授で医学博士の中村信也さんは、7年ほど前に出席した学会で、児童養護施設などで暮らした子どもたちが高校卒業後に進学を希望しても、学費を捻出することや奨学金で進学しても返済に苦労するなど非常に厳しい状況にあり、進学を断念せざるを得ない現状であることを知った。彼らにこそ就学の機会を持って欲しいと2010年に「中村信也就学基金」を設立した。毎年ほぼ2名に、これまでに完全給付で12名の学費(約2千万円以上)を支援している。支援を受けて進学、卒業した人たちは保育士、ホテルマン、化粧品会社勤務などの職業に就いている。

推薦者:高橋 亜美
基金を利用した福岡龍一郎君の卒業式
基金を利用した福岡龍一郎君の卒業式

このたび社会貢献賞を戴き、社会に認めてもらったことは率直に嬉しいし、これからの継続意識を掻き立ててくれます。

受賞して気付いたことは、社会貢献の仕方には多様なものがあるということです。日本人は優しい親切な民族であることは自他ともに認めていましょうが、具体的な形で実行することが苦手です。受賞者同士で語り合いましたが、社会貢献は皆身の丈の社会貢献をやっていると実感しました。自分に無理のない程度にまず実行が重要だと悟りました。

私の社会奉仕は、虐待を受けた子たちが施設に入っていて、その子たちに高等教育、または専門職業を手に付けさせることです。一年に二名を大学、専門学校に行かせることですが、皆、大変なお金がかかるといいますが、医者もやっていますので、大きな負担ではありません。身の丈で二名限定にしています。
子どもがいない自分にはこの世で何か残すものがないかを探していましたが、福祉学会で知り合った児童施設の職員の方から、被虐待児の実情を知らされました。施設の男子は中学校を卒業すると自分で職業を探してくる、女子は高校まで行かせてもらえるが、施設を出て自活することは大変で、風俗に行かざるを得ない、と聞きました。「それは不平等だ!」と強く感じました。咄嗟に身の丈支援で年間二人可能と返事し開始しました。開始後二年目で中村教育基金を立ち上げ、責任者に任せ自分は振り込むだけで、持続することを約束しました。返金義務はなく、卒業後施設の子たちに勉強を教えたり、社会のことを教えたりすることが義務です。
開始後、全国の施設にさざ波を起させたと聞きました。施設の方が努力さえすれば難関でも夢がかなう道があると、いう言葉が言えるようになったとのことです。そして、子どもたちに職業とは何かを教えねばならなくなったことです。

卒業した子、これから入学する子たちの報告を聞くと、心地よい音楽にきこえます。笹川陽平氏が社会貢献を熱く語っていらっしゃいましたが、全くその通りと財団の趣旨をかみしめました。

  • 基金を利用した木村まりえさんの新聞記事
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受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」