受賞者紹介

平成25年度 社会貢献者表彰

特定分野の功績・海の貢献賞

まづか たけじ

馬塚 丈司

(静岡県)
馬塚 丈司

1984年から静岡県浜松市の河口周辺環境の保全活動を始め、翌年ボランティア団体を創設した。絶滅危惧種の保護調査活動、海岸環境回復活動、ポイ捨てゴミの削減活動、子どもたちへの感動教育、講演会などを行ってきた。地道な活動により「野鳥の森」の建設の実現や「絶滅危惧種アカウミガメとその産卵地」の市文化財指定化の実現など自治体を動かした。特に先駆的なアカウミガメの保護活動では国を動かすなど、ウミガメ等希少生物保護の礎となった。海岸ゴミ問題を解決するため提唱した「ウェルカメクリーン作戦」は1990年から現在も続き毎年8,000人以上が参加する市民行事となっている。2000年にはNPO法人サンクチュアリエヌピーオーを設立し、市民や企業、行政と協働するなど、29年にわたり活動している。

推薦者:田辺 久世

この度は、栄誉ある社会貢献者表彰「海の貢献賞」にお選び頂き心より感謝申し上げます。

また、27年の長きに亘り支えて下さった皆様にも感謝申し上げます。

 

サンクチュアリネイチャーセンター
サンクチュアリ
ネイチャーセンター

私の海岸・河川の環境保護活動のきっかけは、1979年、日本最大規模のツバメのねぐらや多くの野鳥の生息地でもある浜松市の二級河川馬込川の河口に整備計画が持ち上がったことからです。この河口の豊かな自然環境を守り、野生生物が安心して暮らせる場所を守ろうと、1985年に「サンクチュアリジャパン」を設立し活動を開始しました。翌年、河口近隣の浜松海岸で絶滅危惧種アカウミガメの産卵を新聞で知り、調査の必要性を呼びかけました。当時、市民や行政の関心は低かったため、1987年から当会のボランティアと共に産卵の実態調査を開始し、115キロの遠州灘全域が産卵地であることを確認しました。その後10年間、「絶滅危惧種アカウミガメとその産卵地」の市指定文化財化とオフロード車の海岸走行の禁止を浜松市に働きかけ、実現しました。この活動は国を動かし、水産庁はアカウミガメの保護事業を1992年に「重要水生生物保護事業」と指定し、ウミガメ等希少野生生物保護の礎となりました。1999年には、10年間の取り組みが実を結び海岸法が改正されました。広域産卵調査を始めて20年目の2012年には、平均産卵数の2.7倍の産卵が確認され保護活動の成果が現れ始めました。2014年度からは、盗掘などからアカウミガメを守るため指定希少野生動植物に指定(捕獲等が罰則を伴う)する準備が進んでいます。

アカウミガメの涙
アカウミガメの涙

また、海岸ゴミ問題を解決するため提唱した「ウエルカメクリーン作戦」は、1990年に始まり毎年8千人以上の市民や企業・行政が参加する浜松市の恒例行事となりました。2000年には、NPO法人「サンクチュアリエヌピーオー」を設立し、NPOと市民・企業・行政と協働して行う活動方法を定着させました。同年、中田島砂丘入り口にネイチャーセンターを開設し、次世代を担う心豊かな子どもたちを育てることに力を入れ、今日では年間1万人もの人が活動に参加しています。

しかし、一方で海岸にはまだまだ多くの環境問題が山積し、海岸への人工構築物の設置、海岸の浸食・礫化、紫外線を発する人工光の削減、卵の盗掘、オフロード車の海岸走行、ゴミの散乱などへの、更なる対策を講じる必要に迫られています。

この海の貢献賞受賞は、地道な活動を社会に周知させ今後より一層これらの問題解決を目指して励むように後押しして頂いたものと、気を引き締め直して海岸環境改善のための活動を市民と共に進めていきたいと思います。

特定非営利活動法人 サンクチュアリエヌピーオー
理事長 馬塚 丈司

  • 海岸で繁殖するコアジ
    海岸で繁殖するコアジ
  • 産卵後砂かけするカメ
    産卵後砂かけするカメ
  • 産卵を終えて海に帰るカメ
    産卵を終えて海に帰るカメ
  • 海ガメの産卵場所の説明
    海ガメの産卵場所の説明
  • 海ガメの上陸跡解説
    海ガメの上陸跡解説
  • 湧き出る子ガメ
    湧き出る子ガメ
  • 海に向かう子ガメ
    海に向かう子ガメ
  • 海を目指す子ガメ
    海を目指す子ガメ
  • 子ガメ
    子ガメ
  • 子ガメを見送る家族
    子ガメを見送る家族
  • 子ガメを見送る家族
    子ガメを見送る家族
  • 海ガメの啓発活動
    海ガメの啓発活動
  • 保護啓発活動
    保護啓発活動
  • 野外での説明風景
    野外での説明風景
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」