受賞者

平成25年度

社会貢献の功績

いそす ひろあき

五十洲 廣明

(青森県)

視覚障がい者の相撲ファンのために、全国で唯一の相撲専門テープ雑誌を自費で28年にわたり作り続け、昨年には製作本数200本を超えた。青森県庁職員だった五十洲さんは、相撲好きの同僚が集う相撲道研究会で機関誌「心技体」を発行していた。失明してしまった小学校の同級生の「もっと相撲について耳で聞ける情報があれば…」という言葉がきっかけで、月に1回のペースで「心技体」の朗読や相撲雑誌からの情報などを拾って90分のテープに吹き込み、「声の心技体」とし、全国の相撲好きな視覚障がい者に届けている。

推薦者:公益財団法人 社会貢献支援財団
五十洲 廣明
録音風景
録音風景

私が視覚障がい者の相撲ファンのために、「声の心技体」とネーミングした全国で唯一の耳で聞く相撲専門テープ雑誌第1号を発行したのが、昭和60年12月であるから、この12月で29年目に入ったことになる。

キッカケは、交通事故で失明した小学時代の友人が、「目の不自由な我々にも相撲好きは沢山いる。だけど、情報はテレビかラジオの実況やニュースだけ。満足に楽しめていない」とぼやき、さらに「五十洲、お前が読んでくれ」と懇願されたからである。しかし、録音するにはテープの容量だけのネタ(原稿)を必要とするため暫く躊躇していたのだが、当時、私は相撲好きの仲間と相撲道研究会を立ち上げ、大相撲が開催される奇数月に機関誌「心技体」を発行していたので、その機関誌に掲載した記事を主体に60分テープに録音し、年6回発行することにしたのである。

録音の資料となる相撲に関する書籍類
録音の資料となる相撲に関する書籍類

その後、90分にしてくれと頼まれたため、場所が始まる月には番付や注目力士に関する情報などを、場所が終了した翌月にはその場所をレビューする他、相撲雑誌から昨今の相撲事情を拾うなどリアルタイムな情報を提供することとし、月1回、90分テープでの発行にしたのである。

仕事を持っている私の録音作業は、月初めの土曜日か日曜日に自宅で行うが、スタジオがないため、家族が寝静まった時間帯になってしまう。子供が小さい頃は、妻が子供たちを早く寝かしつけてくれたり、物音を立てないように協力をしてくれたのだが、深夜であってもバイクの音だったり犬や猫の鳴き声が入ってしまう。そして、最も時間がかかるのが読み違えては巻き戻しをして録音し直す作業であり、このため、90分テープが完成するまでには4~5時間を要する。その後、読み違えがないか、雑音が入っていないかなどのチェック作業を行ってやっと出来上がるのだが、夏の時期だと外が白々と明るくなっていることも度々である。

産経新聞2005年9月1日
産経新聞2005年9月1日

さて、この度、このような栄えある賞をいただきましたが、ただ単に、友人との約束を守って読み続けてきた結果が29年目の継続に繋がっただけであり、まさに青天の霹靂の思いです。ましてや、人命救助などで受賞された方々と肩を並べての受賞は、誠におこがましい限りです。とは申しましても、今回の受賞に対し、心からの御礼と感謝を申し上げます。

これを機に、いただいた賞に恥じることないようにさらに精進し、7年後に到達する予定の「声の心技体」第300号の完成を目指す所存です。

  • 東奥日報1994年1月7日
    東奥日報1994年1月7日
  • 東奥日報2004年4月8日
    東奥日報2004年4月8日
  • 東奥日報2012年9月1日
    東奥日報2012年9月1日