受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

NPOほうじん そうまはらがまあさいちクラブ

NPO法人 相馬はらがま朝市クラブ

(福島県相馬市)
NPO法人 相馬はらがま朝市クラブ 理事長 高橋英真
理事長 高橋英真

福島県相馬市で、毎週土日に「はらがま朝市」を開催し、売り場・買い場を無くした市民のために新たなマーケットとして地元商品の販売や全国から集まる支援物資の配布を行っている。エンターテイメントステージや無料のカフェなどを設け、参加者の交流が深められる楽しいコミュニティとして支持されている。また、平日毎日「リヤカー支援隊」を実施し、同市内の仮設住宅(1500戸)を訪問し、野菜や生活用品の販売を実施し、特に高齢者や障害者に高い利便性を提供している。この活動で30名以上の地元雇用も生み出した。原発被害に苦しむ福島県相馬市に在住する避難民に対し、経済的、精神面の支援となっており、5月3日から現在も継続中。

推薦者:相馬市長 立谷 秀清

私たち「NPO相馬はらがま朝市クラブ」は、被災した相馬の水産関係者が集まり、被災者だけれども被災者の方々を支援する団体として、この1年間活動して来ました。

開始を待つ人たち
朝市で販売するたこ焼きづくり

このNPOは震災直後の本当に物資もなく、やることは瓦礫撤去だけ、TVを付ければ震災のニュースと、同じCM、酒を飲む気力も無く、おにぎりとカップ麺にも飽き飽きしており、何かをしなければと思い、同じ境遇の仲卸組合の仲間に話しかけ、朝市をやろうと決意しました。が、その当時は施設、場所も無く、もちろん前浜での水揚げも無いので途方にくれておりましたが、強引に商工会議所、市役所にお願いに行き、上手く相馬市長にも伝わり「相馬の復興は魚だ!」と云われ、全面協力を頂きました。会場は相馬野馬追いがスタートする馬稜公園に、テントを10張り、椅子、テーブルの他に1000人分出来る防災鍋をお借りし、5月3日から5日まで開催し、約6,000人の被災者の皆様が集まりました。

会場には、まだ避難所生活だった人たちが、震災後離れ離れになって久しぶりに会う知人、親戚の方々と抱き合い、喜び、涙を流す人たちが大勢いました。

配布される物資の準備中

本当にこの当時は、朝市を開催して良かったと思います。また私たち朝市クラブも、もしかして失った仕事が出来ると思い、希望に胸を膨らませましたが、やはり被災地は甘くありません。当時はまだ避難所生活なので生魚を販売しても避難所では調理が出来ず、いくら美味しい魚でも段々と買う人が少なくなり、早朝に仙台の市場から仕入れた魚は売れ残る様になりました。加工場もほぼ被災しており、冷蔵庫の設備もなく在庫も出来ず、廃棄するしかないので、来場者の皆様に無料で配りました。それが支援物資の始まりです。それでも集まってくれる人たちがいる限りはと思い。赤字ながら続けていると、個人的な支援者がダンボール箱1ケースの支援物資と生ギターを持って励ましの歌を歌ったりと、全国の支援者が集う様になって来ました。その後は大きな団体も続々と相馬のために色々なご支援を頂き、本当に日本人は凄いと感じ、毎回朝市が終わると感動で涙が出ました。また、震災が無ければ出会えなかった人たちとも知り合え、「絆」という言葉が身に染みました。

現在は、瓦礫も少なくなり見た目は普通になりましたが、やはり一次産業の復活が無い相馬は未来が見えないので、仮設の人たちも、在宅の人たちも不安な生活となっております。そんな相馬でも未来に向かっていく姿勢を微力ながら、私たち朝市が出して行けば、少しは明るい相馬になるかと思い、現在も活動しております。

この先も長くなる事は明らかですが、この授賞を受け、私たちの活動を見守ってくれる人も居る事が分りましたので、今後も相馬の産業と雇用復活のため頑張って行こうと思います。

  • 物資の配布
  • 「ひとつずつね!」
  • 交流の場にもなる
  • パフォーマンスもある