受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

おおつちまちしょうぼうだんだいにぶんだん

大槌町消防団第二分団

(岩手県上閉伊郡大槌町)
大槌町消防団第二分団 分団長 小國峰男
分団長 小國峰男

大槌町消防団第二分団41人の団員は、町内にある15~6ヶ所の水門を2~3台のポンプ車等で閉鎖した後、高齢者などの救助活動や消防屯所の半鐘を鳴らし続けたりする中で、11名の団員が津波に襲われ死亡または行方不明となった。

推薦者:大槌消防署

東日本大震災大津波を経験して

平成23年3月11日14時46分、かつてない大きな地震を経験した我々第二分団員は、津波襲来を直感し地震が収まらないうちに、自宅や職場からそれぞれ水門扉門の閉鎖に急行しました。15時04分管轄地区内の水門扉門の閉鎖を完了し、その後、難誘導等次の任務に散って行きました。

停電で屯所のサイレンが吹鳴出来なくなり半鐘を乱打していた団員、防潮堤上から海側の逃げ遅れ者の確認誘導をしていた団員、屯所に参集途上だった団員、屯所付近で避難誘導をしていた団員、寝たきり者の救助活動をしていた団員が、15時20分過ぎに防潮堤を越流した大津波に呑みこまれ、11名の仲間が帰らぬ人となってしまいました。

11名の仲間達には、逃げてもらいたかった、生きて又一緒に活動したかったと強く思いますが、我々消防団員は災害現場で逃げない人や逃げられない人が居れば、自らも逃げられないのです。そんなジレンマと闘いながら全国の消防団員は災害から国民を守っているのです。

大槌町安渡一丁目の大槌川河口付近

今後は国民全体で、津波を始め自然災害に対する防災意識を更に高め、国民一人一人が自ら避難するという体制を作り上げて行かなければならないと思います。特に津波に対する心構えは、地震=津波=避難との考えで行動して行かなければならないのです。

そうする為には、防災教育がとても重要だと考えます。全国の小学校で津波を始め、各種防災教育を実施すれば、子供達は自然災害から素直に逃げ延びてくれるはずです。そうすれば、大人になってからも自然災害から生き延びられる知識が身に付くものと思っております。

子供の防災教育も重要ですが、大人に対する防災教育がもっと重要だと考えます。東日本大震災大津波で大人の犠牲者が多く見られるのは、津波はここまでは襲来しないだろう、昔の津波はここまでは襲来しなかった等々、思い込みや言い伝えを信じて犠牲になった人が多いのです。この様な大人の犠牲を無くす為にも、大人に対する防災教育は喫緊の課題です。

大人はあらゆる自然災害に対し想定外を想定し自ら生き延びる術を身につけなければならないと強く思います。

今回、東日本大震災における貢献者表彰を受賞するにあたり、我々大槌町消防団第二分団員は消防団員として当たり前の任務を遂行したまでであり、恐縮致しております。しかし、殉職した11名の尊い活動を末永く後世に伝え、津波の恐ろしさや早期避難の徹底を国民に訴えて行きたいと思います。殉職した仲間達は生きたかったと思います。

我々生き延びた分団員は、復興までは、まだまだ長い道のりですが、殉職した仲間達の崇高な意思を引き継ぎ、今後も大槌町の防人として邁進して行く所存です。

そして、東日本大震災大津波では、住民を守る為に自らの命を賭けた消防団員が多数いた事を国民の皆様には忘れないでいただきたいと思っております。

  • 破られた水門