受賞者紹介

平成16年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

いまい まさかず

今井 政一

(昭4.1.7生 75歳/大阪府東大阪市)
今井 政一
大阪府立堺聾学校で歯科技工科設立以来39年間にわたり聴覚障害者の歯科技工士養成に尽力し、多数の歯科技工士を育てた。その中には台湾からの留学生も含まれ、国内のみならず海外の聴覚障害者やその保護者にも将来への希望を与え続けている。
推薦者:坂井 美惠子

受賞の言葉

此度社会貢献賞 受賞、未だ人間として未完成な私如き者がと唯々感謝の念で一杯でございます。聴覚を失った生徒達と共に歯科技巧と云う専門分野でぎこちない手話と続話で39年間頑張ってきました。又、協力してくださった、堺聾学校の先生を始め職員の方々に感謝申し上げます。今后機会があれば又障害の方々の力になりたいと思っております。私はたった一度の人生皆々様のお蔭で今日ある事を痛感し深く感謝申し上げます。

障害者が健常者と同じ条件で、医療系の国家資格を取得すること等全く考えられなかった1965年、今井さんは大阪府立堺聾学校に専攻科歯科技工科を設立するため、大阪歯科大学と連携を図りつつその実現に奔走し、聴覚障害者の歯科技工科の日本初の設置に成功し全国の聴覚障害者及びその保護者に将来の見通しと自信を与えた。以来39年間、今井さんは同校歯科技工科で歯冠修復技巧学(差し歯の治療技術)の指導にあたり、コミュニケーションが困難な聴覚障害者に対し、忍耐強く懇切丁寧に、手話を用いた工夫をこらした指導で、数多くの聴覚障害の歯科技工士を世に送り出した。

今井さんはまた、台湾から聴覚障害のある留学生陳さんを引き受けて経済的、精神的な援助を行い、優秀な成績で同校を卒業させ、歯科技工士の国家試験にも合格させた。陳さんは台北市で歯科技工所を開設し、20余名に歯科技工の技術を指導、習得させ、台湾の聴覚障害者やその保護者に将来への希望を与えている。今井さんが日本各地からの聴覚障害者を自宅に引き取り、陳さん同様寝食を共にして卒業させた学生は10名近くに及ぶ。1965年から2003年までの同校歯科技工科卒業生375名のうち、国家試験合格者は366名にのぼる。