社会貢献支援財団

こども読書推進賞

受賞者紹介


第1回「こども読書推進賞」受賞者紹介

熊倉峰広 くまくら みねひろ
熊倉 峰広
【住所】 東京都武蔵村山市
【現職】 東村山市立東村山第三中学校 教諭
【略歴】 昭和32年新潟県生れ。45歳。東京都公立中学校国語科教諭として23年目。平成11年「第8回読書指導体験記」(集英社)優秀賞受賞。平成14年「第4回東京新聞教育賞」「第51回読売教育賞優秀賞」受賞。
【読書活動の内容】 ・「味見読書」(熊倉教諭の開発による読書プログラム)
【活動開始時期】 平成7(1995)年〜
【推薦者】 東村山市教育委員会
(東村山市立東村山第三中学校)
【生徒数】 440人
【対象となる生徒数】 145人
【蔵書数】 7526冊(参考;標準蔵書冊数 11200冊)
【司書数】 0人

 熊倉教諭は前任校勤務中の7年前、普段本を読まない生徒たちに理由を聞くうちに、「読まず嫌い」であることがわかってきた。そこで、最後まで読まなくてよい、つまらなければ他の本に移ってよいから、と断って、見合いそうな本を薦めてみると、終りまで読まなくてよいと知った生徒たちは安心して読書をするようになった。これが「味見読書」指導を生み出すきっかけになった。
 1学年においては、感想文を書くための読書ではなく、一人一人が自分自身にとっての「名作」に出会い親しむことを目標とし、課題図書の選択と与え方に工夫をする。3セット各15冊(5作品)を3回のローテーションで回し、一巡した後は一言感想を書かせるが、全作品の感想は強要せずに、生徒たちの主体的な読書の成立を目指す。
 2学年においては「送受信BOX」(3セット)を使い、送信として、各課題図書別の封筒に略式記名した送信(感想)メールを入れ、3回のローテーションで一巡する。受信・返信としてなるべく沢山の送信メールを読み、作品ごとに受信した情報を「受信」用紙にまとめ、また目に留まったものに対し「返信」メッセージを出す。これにより、一つの作品に対して他の生徒による様々な見方、感じ方があるということを知ることができる。
 3学年では生徒自身の人生の岐路を控え、多くの作品に描かれる様々な人物の生き方や死の姿を「味見」し、感想の交換をすることで、彼ら自身が「生き方」を考えるきっかけになるのではと仮説の下に、味見読書と「送受信BOX」を展開する。
 味見読書の最大の特徴は、ふだん本を読まない、どちらかと言えば読書嫌いの生徒たちを対象にしていることと言える。東村山市立東村山第三中学校での実践では、大多数の生徒自身の「読書」に対する姿勢が前向き、積極的に変化したことが窺えるようになった。味見読書の時間について、多くの生徒が「もっと時間が欲しかった」と感想を述べている。