表彰式典

第49回 社会貢献者表彰式典(於:帝国ホテル東京)

受賞者代表挨拶

受賞者代表・上原 淳さん

川越救急クリニックという救急クリニックをしております院長の上原でございます。

受賞者を代表いたしまして、ご臨席の皆様に一言挨拶を申し上げます。

本日はこの栄えある賞を授与いただきました、社会貢献支援財団の皆様並びにこの素晴らしい会場ご用意くださいました帝国ホテルの関係者の皆様、そしてこの場にご臨席いただいた皆様、代表者としまして深く御礼申し上げます。ありがとうございます。

私ども、川越救急クリニックというのは、日本の救急事情を少しでも改善しようと日々活動しております。日本の救急医療についてご紹介いたしますが、現在、軽症者を診る一次救急、中等症者を診る二次救急、そして命にかかわる重症者を診る三次救急と三段階に分かれております。ところが日本という国は、お医者さんが少ないのです。人口当たりの医者がかなり少ない国のひとつであり。救急の医者というのは更に少ない。従って、一次救急、二次救急と軽症者を診るところには救急の専門医が殆どおりません。重症者を診る三次救急に専門者はいます。いわゆる救急病院、市中にあるいわゆる一般病院は、内科、外科あるいは耳鼻科、眼科という各専門の医者が当直医としているだけであります。そうすると、例えば先ほど内館委員長が足の骨を折ったと仰っていましたが、「今日の当直医は耳鼻科」がいる病院に電話をかけても断られるわけです、「専門外です」と。それがあっちかけて下さい、こっちかけて下さいといういわゆる“たらい回し“という状態になっております。当直医に何科の医者がいるかによって市民の命が左右されてしまうことが起こりかねない。正に休日夜間の診療といのは、運によって左右されている部分が非常に大きい、これが今の日本の救急医療の現状なのです。

これを解決するために軽症患者、一次二次の救急にも全身が診られる医者が必要だろうと思いまして、私は救急専門医の資格を取って救急センターで働いていたのですが、敢えて救命センターを辞めて、市中に普通のクリニックという形で救急専門のクリニックを開業いたしました。開業してみたら、日本で初めてだったらしく、連日マスコミに取り上げられたり色んなことをしておりますが、内容的には大したことしていません。行き場のない患者さんを診ているだけなのですが。

開業してから全国から心ある看護師さん、お医者さん、若い先生たちがいっぱい研修とか見学に来てくれています。彼らも日本の救急事情を良くしたい、改善したいという熱意があります。その熱意を受けて、うちがあるだけじゃダメだろうということで2014年に「日本救急クリニック協会」というNPO団体を設立しまして、今後そこが全国にこのようなクリニックが出来るように支援していけるようにと現在活動を続けております。

さて今53件の受賞者の方々のビデオを拝見しましたが、本当に色々な分野で色々な方が頑張られているのだなと思いました。今回のこのビデオを見るまでこんな活動をしている方がいるのだと知らない方がいっぱいいました。見ているうちに一つ感じたことがあります。途中で、「人の幸せはわたしの幸せ」という法被を着ている方が出てきましたけれど正にそれでありまして、僕らの共通している思いは、「だれか他の人の笑顔が見たい、他の人の安心した顔が見たい」それが自分の幸せにつながる、という共通した思いでやっているのだなあと感じました。こういう人たちがどんどん増えていくと日本はいい国になるのだろうと思いながら見ていました。

今年までにこの財団の表彰を受けた方は1万2千人、団体もいらっしゃるそうです。今日で1万2千53になったのかな。我々ひとりひとりが他の人の笑顔が見たいと思って過ごせる国が拡がっていくといいなと思います。いつかこの日本をみんなの笑顔で溢れる国にして貰いたいなと思いました。そしてそれが出来るまで、この財団の方々にこの表彰をぜひ続けて下さい、とお願いをいたしまして私の挨拶とさせていただきます。

本日は本当にありがとうございました。

川越救急クリニック 院長、
日本救急クリニック協会 理事長
上原 淳